※Q-10 signatureの内部4芯構造を利用したシンプルなバイワイヤ仕様です
(1)Q-10 signatureの導体
オーディオケーブルに使用される「純銅」には、
いくつかのランクがあることをご存知と思います。
信頼のおけるメーカー品であれば、
当然のように高品位な無酸素銅が使われています。
また近年、より精度を高めた「OHNO連続鋳造銅」が開発され、
この導体もよく使用されています。
一般的な銅線は1500粒子(/ft)程度ですが、
「OHNO」では70粒子(/ft)にまで純度が高められています。
Q-10 signatureに使用されている純銅は、
「OHNO」より高純度の「OFHCC連続結晶長粒銅」です。
これは極めて精度の高い40粒子(/ft)の純銅で、
DH Labs社はこの高純度銅の安定品質及び安定供給を得るために、
すべて米国内に限定して調達しているのです。
OFHCC導体は、不純物を徹底排除した結果、
超低抵抗、超低静電容量、超低インダクタンス、単一方向性、
高速伝送性というたいへん優れた特性を持っています。
この高純度銅は純銀によって表面を厚くコーティングされます。
伝送される信号の走路は導体表面側であるため、
金属中最高の低抵抗値、高導電率を持つ純銀によって
導体表面を覆うことは、信号伝送上たいへん有益な方法なのです。
ここで使用される純銀についても触れてみましょう。
オーディオケーブルに用いられる純銀のうち、
特に純度の高い純銀は、Sterling-silverとFine-silverです。
DHラボでは、リベレーション・シリーズに用いられる純銀導体は勿論、
コーティング用の純銀に至るまで、全ての製品において、
より高純度の「HIGH-FINE SILVER」を米国内調達しています。
最高純度の純銀がカスタムオーダーによって確保されているのです。
この純銀導体表面は、専有技術によってミクロレベルまで研磨され、
純銀という取り扱いの難しい貴金属の特性を総合的に整えます。
これには固有のキャラクターや眩しさを解消する効果も含まれ、
DHラボの純銀線にはクセや眩しさがないと言われる所以なのです。
(2)誘電体
こうして整えられた導体は、カスタムオーダーされた
特別なPTFE誘電体によって被覆されます。
どのように優れた導体が用いられても、適切な誘電体が使用されなければ、
誘電損失が発生し、導体を伝わる情報は大幅に失われたり、
変質してしまったりするのです。
近年ケーブルにおける誘電体の役割が重視されるようになったことは、
たいへん喜ばしいことです。
DHラボ創設者ダレン・ホヴセピアンが、
誘電体の持つ誘電率がケーブルの音質に与える影響に着目し、
「AirMatrix誘電体(誘電率1.4)」の開発に着手したのは、
彼がまだ電気大学の学生の頃だったといいます。
その当時は専門書にさえ、誘電体が音質に与える影響は不明と
書かれていたといいますから、まさに隔世の感があります。
閑話休題、DHラボのケーブルが音響スタジオ現場で使用されるほど
高い信頼を得ている理由の一つに、こうした誘電体への拘りがあります。
つまり、優れた導体に、優れた誘電体を合わせたとき、
初めて原音に忠実な高信頼性ケーブルは実現するのです。
(3)構造またはジオメトリー
Q-10 signatureは、4芯からなる、
ユニークな「Multiple gauge array」という構造を持っています。
これは、12AG x 2芯、14AG x 2芯を投入して、
10AG x 2芯相当の太さとしつつも、
表皮効果によるインダクタンスを回避し、
なおかつ異なる太さの2芯ずつに分割してスパイラルすることによって、
電磁誘導ノイズの発生および伝播を強力に抑制するのです。
設計者ダレン・ホヴセピアンの長年の研鑽の賜物であることは
間違いないところですが、
それと同時に、このような先進設計を閃かせる彼の天賦の才に
敬意を払わずにいられません。
Q-10 signatureは、このユニークな設計によって、
10AG x 2芯同等の極太導体による強力な導電力、情報量を持ちながら、
同時に電磁ノイズの制御された静寂性、明瞭性を実現させるという、
稀少なオーディオケーブルになっているのです。
(4)Q-10 signatureの音質
これら設計上のこだわりと配慮はQ-10 signatureの再生音に
見事に反映しています。
今まで潜んでいたノイズ、混濁、滲み、雑味などが取り払われ、
音響上まれに見るピュリティーを実現させます。
一聴してわかる重低音の深みと量感、ワイドレンジ、正確な定位、
広大な音場など、Q-10 signatureのもたらす音質向上は少なくありません。
とりわけ顕著なのは、音像の立体感、そしてリアルな温度感や肉声感です。
このケーブルを導入するや、
中心となる直接音が今迄とまったく異なる実在感を帯び始め、
二次元的であったアーティストが三次元的に立ち上がり、
リスナーの方に進み出て、じつに表情豊かに歌い始めるのです。
このことを体感した方はQ-10 signatureをスピーカーから
外すことが出来なくなるのではないでしょうか。
これこそ、DHラボが歳月と労力を惜しまず注ぎ込んだ、
このケーブルへの取り組みの成果なのです。
こうして、とかく重箱の隅をつつくような聴き方をしがちな
我々オーディオファイルも、
いつしか聴いている音楽そのものの豊かな世界に引き込まれ、
ときを忘れていくのです。
(「オーディオアクセサリー銘機賞2013」受賞、「オーディオアクセサリー銘機賞2016」受賞、「オーディオアクセサリー銘機賞2019」受賞、「オーディオアクセサリー銘機賞2020」受賞、「Stereophile」Recommend、「6 Moons Audio」Recommend、「Home Technology eMagazine」Recommend、「AudioXpress」Recommend)
■11.0mm Diameter、Silver-coated Crystal-Copper conductors(Highest Grade OFHCC Continuous Crystal Long Grain Copper)、Unique Four conductor multiple gauge array (Equates to a robust 10 gauge cable)、 High quality PTFE (Teflon) insulation
画像はGold Lock Bananaよる端末処理の一例です。
標準仕様は、Z-Banana、SP-10 Spade(Yラグ)ですが、差額の加算によって「プラグ、その他」カテゴリのすべてのプラグをお選びいただけます。 (価格などお気軽にお訊ねください)
バイワイヤ仕様として、とりわけ大幅な音質向上の見込める「Q10 signature DT-Bi-wire」または「Q-10エクストPremium」もご参照下さい。